金色の鍵










私はまだこの世に来てから、2年も経っていない。

つまり、もうすぐ2才、でもまだ1才。

大人はみんな、何も分かっていない赤ちゃんだと思っている。まぁ、仕方ない。だって、体もまだ小さいし、うまくしゃべれないし、できないことばかりだもの。

でもちゃんと考えてるし、覚えているんだよ、いろいろなこと。

とりあえず今は、早くお風呂に入りたーい!そうしないと、お姉ちゃんが先にあがってしまう・・・。もうママがやってくれるのを待っている場合ではない!このパンツさえ、なんとかして脱いでしまえば……よし、できたっ!これで、お姉ちゃんに追いつける。

そういえば、お空の上にいるときも、早くお姉ちゃんのところに行きたいなぁって、いつも思ってた。


M「ねえね、ねえねがママのとこにいくとき、まあちゃんがまっててね、っていったのおぼえてる?」

N「うん、覚えてるよ! あのときさー、一緒にママのとこに行こーって言ったのに、まあちゃん、こわいからやだーって言ったもんね」

 3つ上のお姉ちゃん。髪の毛泡だらけで、目をぎゅーっとつむってる。

M「だって、まあちゃん、こわかったんだもーん」

N「でもねえねはもう決めてたから、先に行ってるねってまあちゃんに言ったんだよね。それでー、神様にママのところに行きたいってお願いしたんだもん」

そうだった、そうだった。お姉ちゃんもちゃんと覚えてるんだ。

M「だからまあちゃん、ねえねにまっててねっていった。それで、ねえねのこと、うえからみてたんだよ。しゅーっていったでしょ」

N「そうそう、滑り台みたいので、しゅーって降りるんだよ。ちょっと怖いけど、おもしろかったね」

M「うん。まあちゃんも、しゅーってすべっておりたよ。かみさまみたいなひともいっしょにきてくれた」

N「そしたら大きな金色のドアがあったでしょ。ドアの前にいる人がほんとに行くの?って聞くんだよね」

M「まあちゃんのときも」

N「行くっていったら、金色の鍵で開けてくれるんだよね。ドキドキしてドア開けてもらったら、暗かった」

M「うん。でも、ママのおなかのなか、くらいけど、あったかくて、きもちいいんだよねぇ」

N「そうそう、あったかくって、くるーんって泳げるんだよ。気持ちよかったね」

M「まあちゃんさぁー、まだまだママのおなかにいたかったんだよ。でもねえねとママが、ベビちゃんでておいでーっていうから、でたくないのにでてきたの」

それまで黙って聞いていたママ。

Mom「え? それで、出てくるときはどうだったの?」

と聞いてきた。

M「あたまと、かおが、むぎゅーってなって、ぐるりーんって」

両手で顔を挟んで変な顔。でもこんな感じ。むぎゅーっとね。

M「そしたら、きゅうにあかるくなるんだよ」

Mom「ベビちゃん、出ておいでー、早く出ておいでよって、確かに言ったわ」

お姉ちゃんはすっかりきれいになって、湯船にぼっちゃーんと飛び込んでいった。

M「ママー、はやくしてよう」

Mom「お空の上には、他に誰かいた?」

M「おともだち」

 お姉ちゃんは動くおもちゃが本当に好き。さっきから、動く船もアヒルも魚も全部ねじ巻いて泳がせてる。

Mom「お友達って、みんな子ども?」

M「そうだよ。あと、おじさん」

「白い服をきた、もじゃもじゃ頭のおじさんだったよね。お世話してくれる人っていうか、その人がお部屋の中に呼んでくれたんだよ」

Mom「お部屋? お部屋って?」

N「お母さんたちが映ってる大きなテレビみたいなのがあるところ。みんな、そこで自分のお母さんになる人を探すの」

M「そだよ。どのひとにしよっかなーって」

あのときは画面を見るのに必死だったけど、お姉ちゃんは、さっさと決めて、先に出ちゃったから、私もあわててお部屋を出たんだっけ。

M「ねえね、あのときさー、ママをみつけるのはやかったね」

N「うん。だって早くしないと、他の子にとられちゃうってドキドキしたんだもん」

あの時、ママを見つけたお姉ちゃんが私はあの人に決めたって言って、私もすぐにそうしようって決めたんだ。お姉ちゃんと一緒に、ママの列に並んだ時、他にもたくさんの子たちが並んでいるの見て、ドキドキしたなぁ。だから、お姉ちゃんが選ばれたとき、やったぁーと思ったんだよ。あのときお姉ちゃんと一緒に行くのはやめちゃったけど、ちゃんとここに来れて、よかったなぁ。

Mom「ねぇ、まあちゃんは、どうしてここにきたの?」

どうしてって……。

M「ママがすきだから」

それに言うまでもないことだけど、

M「ねえねがすきだから」

それとね、

M「みんなをにこにこにしたいから」

N「そうだよ、にこにこをみんなに広げたくて来たんだよね。みんなをにこにこにするのが、みんなの幸せでー、みんなが幸せになるのがみんなの夢でー、その夢をかなえるためにみんな生きてるんだよー」


Mom「そ、そうなんだ。でも、生きるって結構大変なんだけどなぁ」

ママがつぶやいた。

N「あったりまえじゃない。生まれてくるとき、そんなのわかってて出てきたでしょ。神様にも本当に行くの?って聞かれても、行くって言ったでしょ。どんなに大変かわかってて、それでも行きたいって言って、出てきたんだもん」

そうだよね、お姉ちゃん。これからもずっと一緒にいようね、お姉ちゃん。








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